Codexをver0.53.0に更新してから、Windowsユーザーでは、「Approval Mode」で「auto」を選択できなくなりました。
本記事では、その原因となった仕様変更と、WSL2を使ってAuto modeを使用する方法を、初心者にも分かりやすく解説します。
「Auto mode requires WSL2」と表示されるのはなぜ?
Codex ver0.53.0以降では、Approval Modeで「auto」を選ぶと次のようなメッセージが表示されます。
Auto mode requires Windows Subsystem for Linux (WSL2).
Run Codex inside WSL to enable sandboxed commands.
Install WSL2 by opening PowerShell as Administrator and running:
# Install WSL using the default Linux distribution (Ubuntu).
# See https://learn.microsoft.com/en-us/windows/wsl/install for more info
wsl --install
# Restart your computer, then start a shell inside of Windows Subsystem for Linux
wsl
# Install Node.js in WSL via nvm
# Documentation: https://learn.microsoft.com/en-us/windows/dev-environment/javascript/nodejs-on-wsl
curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/master/install.sh | bash && export NVM_DIR="$HOME/.nvm" && \. "$NVM_DIR/nvm.sh"
nvm install 22
# Install and run Codex in WSL
npm install --global @openai/codex
codex
# Additional details and instructions for how to install and run Codex in WSL:
https://developers.openai.com/codex/windowsこれは、「Auto(自動)モードを使うには、Windows上でLinux環境(WSL2)が必要」という意味です。
以前のバージョンではWindows上でもAutoモードが動作しましたが、セキュリティ強化のため、CodexはLinuxベースの安全なサンドボックス上でのみ自動実行できる仕様に変わりました。
Approval Modeとは?
Approval Modeとは、Codexがファイル編集やコマンド実行を行う際の「安全レベル」を選べる設定機能です。
| モード | 動作内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| Read Only | AIが提案するだけで、自動ではファイル書き込みされない。 | 安全(勝手に変更されない) |
| Auto | 承認を最小化して、ワークスペース内での変更を、AIが自動で実行する | 便利(変更時には、手動での承認が必要) |
| Full Access | ワークスペース内での変更を、AIが完全な権限で実行する | 危険(上級者向け) |
codex V0.53.0からのの仕様変更では、Autoモードの安全性を担保するために「WSL2(Linux環境)」が必須になりました。
WSL2とは何か?
WSL(Windows Subsystem for Linux)とは、Windows上でLinuxを動かせる仕組みです。
バージョン2(WSL2)では、より本格的なLinuxカーネルが動作し、CodexのAutoモードで必要な「サンドボックス環境」を提供します。
codex V0.53.0から、CodexのAutoモードをWindowsで使いたい場合は、このWSL2の中でCodexを動かす必要があります。

ポイント
- Auto モードは WSL2 内の Linux サンドボックスでのみ有効。
- ソースコードは WSL 側 (
/home/...) または Windows 側 (/mnt/c/...) に置けますが、WSL 側に置くと高速で安定します。
WSL2を導入してCodexを動かす手順
以下の手順でWSL2をセットアップし、Autoモードを再び使えるようにしましょう。
1.PowerShellを管理者として開く wsl --install このコマンドでWSLとUbuntu(Linux環境)を自動インストールします。
(Linuxディストリビューションを指定せずにインストールを行うと既定のディストリビューション(ubuntu)がインストールされます。)
2.パソコンを再起動 インストール完了後、Windowsを再起動します。
3.WSLを起動 スタートメニューで「wsl」と入力してEnterを押すと、Ubuntuのターミナルが開きます。
4.Node.jsをインストール
curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/master/install.sh | bash
export NVM_DIR="$HOME/.nvm"
. "$NVM_DIR/nvm.sh"
nvm install 225.Codexをインストールして起動
npm install --global @openai/codex
codexこれでWSL2環境内でCodexが動作し、「Approval Mode: auto」が有効になります。
補足:VS Code に Remote – WSL 拡張をインストールしてターミナルで Ubuntu を操作する方法
- Visual Studio Code の公式ページにアクセスし、 「Download for Windows」ボタンをクリックしてインストーラをダウンロードする。
- 使用許諾契約への同意など画面に従いインストールを完了する。
- VS Code左サイドバーの拡張機能アイコンをクリックして、Remote – WSLを検索しインストールする。
- CTRL+Shift+PでコマンドパレットをWSLで検索し、WSL:WSLへの接続とWSL:ディストリビューションを使用してWSLに接続行いをUbuntu選択する。
- VS Codeの左下に緑色の接続インジケーターが、WSL: Ubuntuとなっていることを確認する。
WSLを使いたくない場合の代替策
もし、WindowsにWSLを導入したくない場合は、Auto以外のモードを使って作業ができます。
- Read Only:AIの提案だけ受け取る(安全で初心者向け)
- Full Access:完全自動実行(上級者向け・非推奨)
これらのモードは、TUI(対話画面)で /approvals と入力すると切り替えできます。
旧バージョンに戻して使用する
codex V.0.50.0では、Windows環境でもAuto modeが使えるので、以下のコマンドでサンドボックス制限が入る前の状態に戻して使用できます。
npm install -g @openai/codex@0.50.0公式ドキュメントの案内
OpenAI公式でも、Autoモードを使う場合はWSL2で実行するよう案内されています。
“Run Codex inside WSL to enable sandboxed commands.”
参照:https://developers.openai.com/codex/windows
まとめ
- Codex ver0.53.0以降、WindowsではAutoモードが直接使えなくなった
- Autoモードは安全なLinuxサンドボックス内でのみ実行可能
- WSL2を導入すれば従来どおりAuto Modeが使える。
- WSLインストールが難しい場合は「Read Only」モードで運用もできる
WSL2を導入するのは少し手間ですが、これで従来通りのCodexコマンド実行機能を利用できます。

