OpenAIが開発する「GPT-5 Codex CLI」は、ターミナル上で自然言語指示を送ってコード生成やレビューを行える便利な開発ツールです。
しかし、日本語環境では「文字化け」や「入力中のカーソル飛び」など、いくつかの不具合が報告されています。
本記事では、v0.44.0以降の日本語入力不具合と修正状況を整理して解説します。
日本語入力の基本対応状況
Codex CLIはUTF-8ベースの設計で、日本語の入力・出力自体は可能です。
ただし、特にPowerShellやWindows Terminalでは文字化けが発生することが報告されています。
主な不具合
- 日本語を入力しても「□□□」「テスト」など文字化けする
- 日本語入力中にカーソル位置が飛ぶ/文字が欠ける
- BackSpaceキーでの削除時に文字境界を正しく認識しない
- IME確定前にEnterで送信されてしまう
/review
コマンドなどで「日本語出力指定」が無視され英語で返る
v0.44.0で報告された主な不具合
入力カーソルのズレ・飛び
- 日本語IME(特にWindows IME)で変換確定を行うと、
カーソルが行頭や別位置に飛ぶ現象。 - SNS上では「v0.44で日本語入力がだいぶダメになっている」という報告もありました。
- BackSpaceキーでの削除時に文字境界を正しく認識しない
打鍵中の表示乱れ
- 日本語の変換中、文字が飛び飛びで表示される、候補確定後に文字が消えるなどの不安定な描画。
- これは入力欄UI(TUI)の再描画処理が変わった影響と考えられます。
TUI(テキストユーザーインターフェース)まわりの変更
- v0.44.0では、入力欄UIが刷新され、ショートカットヘルプバーが再表示されるようになりました。
これにより内部の再描画ロジックが変化し、IME入力中の干渉が起きた可能性があります。

v0.45.0 / v0.46.0での修正状況
v0.45.0の主な変更点
codex login --with-api-key
への変更codex exec
の出力制御調整- Windows向けのデフォルトモデル設定修正
- テーマ変更後の色表示修正
➡ 日本語入力やIME関連の修正は記載されていません。
v0.46.0の主な変更点
- TUI関連の複数修正(下部パディング除去、行番号幅の動的調整、折り返しバグ修正、タブ文字処理改善など)
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コマンドの指示ハック削除(ただし日本語指示無視バグは残存)- zsh補完スクリプトの修正
- Transcriptモードでのタブ表示改善
➡ 日本語入力の不具合修正は記載されていません。
まだ残る日本語関連の問題
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コマンドで「常に英語で返る」バグ(v0.46.0でも未修正)- CJK文字(日本語・中国語・韓国語)削除時の表示乱れ
→ これに関する修正PRが v0.46.0 リリース後にオープン(「wide grapheme 対応」) - BackSpaceキーでの削除時に文字境界を正しく認識しない
- IME合成中の再描画問題(全角文字確定中に入力欄が更新される)
現状でできる実用的な対策
TUIへの日本語入力の問題だけなら、下記の方法で回避できます。
WSLで使用する
WSL(Windows Subsystem for Linux)をインストールしLinuxのコマンドラインで使用すると問題なく入力できます。
参考: WSL を使用して Windows に Linux をインストールする方法
codexをダウングレードする
TUI変更前のバージョンで使用すると問題なく入力できます。

# V0.42.0では、日本語入力は問題なく行えます。
npm install -g @openai/codex@0.42.0
# V0.43.0へのダウングレードは、下記エラーで失敗する。
(No matching version found for @openai/codex@0.43.0.)
npm install -g @openai/codex@0.43.0